私が老舗のいわゆる大企業で人事系の仕事をしていたことを知っている親類や知人の中には、自分の子供の就職活動にあたって、「老舗の大企業に入るために必要なアドバイスをしてやってほしい」「どうしたら老舗の大企業に入って安定した人生を送れるようになるのか」「老舗の大企業で期待される人物像とは」などと依頼してきたり、聞いてきたりする方がいます。
いや、もう、何というか、私なんかに聞いてくる時点で「就職活動大丈夫か!?」と心配になります。突っ込みどころは山のようにあります。
「老舗の大企業に安定した人生を期待してるって、昭和なの!?」
「そもそもお子さんは何をやりたいの!?」・・・
こういう方々に限ってベンチャーや起業は「危険なもの」として考えられない、と言います。いやいや、ホワイト大企業に入ってもかなりの割合、新卒は3年以内に辞めますから。今や黒字リストラは当たり前、財界の大物からも終身雇用の崩壊が語られます。
30数年前の常識は今や全く通じない世の中になっています。というか優良企業の構成なんか数年でがらりと変わりますよね。新聞や経済番組、ネットは見ないんでしょうかね。
まあ、気持ちは分からんでもないです。私だって自分の娘が就職活動を始めたらドキドキハラハラでしょう。しかし親が良かれと思っていても、すでに情報が古すぎる場合は、子供の何の助けにもならないどころか邪魔にしかならないものです。
ここはやはり子供とちょっと距離を置いて、本人を信じて見守ってあげましょう。戸惑っているようだったら、「学校の就職課で気楽に相談してみたら?今はいろいろサービスが充実しているみたいよ」とかそっとサジェスチョンを与える程度にとどめてはいかがでしょう。
就職活動に限らず、子供のために親が先回りしていろいろ手配してやることが、良い結果になったのをあまり見聞きしたことがありません。
若者たちの方がその時代の風に敏感なものです。