吉田兼好の徒然草に、すごろく(今のすごろくではなくほとんど博打)の名人に勝利の極意を聞くという有名な一説がありますね。
「勝とう勝とうとするのではなく、負けないようにすること」というシンプルかつ奥深い答え。
私もかつてはギャンブル好きでしたので、調子に乗って痛い目にも遭いました。勝っているときの万能感で更に勝ち分を増やそうとして大負け。いつの間にやらトータルで負け越し。やめようと思ってもまたしばらくしたらついやってしまいなぜか大勝ち・・・これを繰り返します。
博打は元々胴元の取り分がありますから、大数の法則によれば、勝ちは一時的なもので回数を重ねれば必ず負けに収束していくものと決まっています。
それでも勝っている時は「自分だけは勝ち続ける」という謎の脳内モルヒネが冷静な判断力を抑え込んでしまいます。
すごろくの名人の極意は、勝ちに一時的に陶酔するのではなく、常に冷静に、時には小さな負けを受忍してでも勝負から降りて自分へ運が回ってくるのを待つ、という風に私は解釈しました。そのようにしましたらだいぶ勝率が上がりました。
まあ尤も、賭け事は時間が経つのがものすごく早く、何だか人生の時間の無駄遣いをしている気がするようになってきっぱりやめてしまいましたが。
早期の(セミ)リタイアしている皆さんは、自然とこの「負けないようにする」極意を得ておられるように思えます。投資しかり、質素な生活しかり、自分なりの負けにならない塩梅を持っていらっしゃる方が多いのではないでしょうか。
私も感情に流される老人にならないよう気を付けて日々鍛錬したいと思います。