会社に対する忠誠心を要求している会社って、今でもあるのでしょうか。バブル期の頃は、就職活動は今と比べると楽だと言えるかもしれませんが、入社したら入社したで、古い寮に入れられたり、入社式では社歌を歌わされ、社長(最初のうちはよく分からないおじさん)の訓示を聞かされ、かなり苦痛な日々でした。
もちろんその最中に私語をしたり居眠りをしたりすると「会社に忠誠心の無い者」として糾弾され、かつレッテルを貼られました。
そもそもサラリーマン社長や幹部の話なぞ、面白いわけがありません。立志伝中のテレビに出てくるような創業者社長であれば、冒険活劇のような面白さもありそうですが、時代はバブル。たいていは何も特別なことをせずとも業績は上がり、ボーナスや福利厚生、経費などはバラまかれていましたから、「社長に感謝!」「うちの社長は凄い!」などと本気で思う人がいたのかは甚だ疑問であります。
そしてバブル崩壊。本来であれば会社への忠誠心と引き換えに受領するはずだった役職(ポスト)、湯水のような経費、人もうらやむ年収、優秀な部下たち・・・。これらもあっさりと反故にされます。やっと役職についても、人員削減、経費削減、時間外削減、部下のメンタルケアに、意味の無い会議資料のチェック、作成。ハラスメントの告発に脅え、IT音痴の上司のお世話に明け暮れる日々。
その昔、「酒は泪か溜息か」という標語があったように記憶していますが、さしずめバブル入社社員にとっては「会社への忠誠心は泪か溜息か」といったところでしょうか。
有名企業に就職できただけでもマシじゃないか、と後の世代から怒られそうですが、周囲を見る限りバブル世代で今でも楽しげな人ってほんの一握りだと思いますよ。
やはり、会社という組織に飲み込まれず、適切な距離を保ちつつ自己のスキルを上げている人は、世代を超えて充実した人生を送っているように見受けられます。