日本の企業経営を行う上で人件費をどう取り扱うかは、特に近年は困難を極めていそうです。
そもそも人件費という言い方は一般的なもので、労務費(間接労務費と直接労務費)、外注費、研修費、教育費などどこまで含めるのかは、会社が身を置く業界や時代の流れ、はたまた見る人によって大きく異なるので、あまり厳密にこの辺りを議論するのは得策ではなさそうです。
ここでは、経営者がそもそも「人」をどう取り扱うのか、それを考えてみます。
一般的には「ヒト・モノ(土地)・カネ」が資本の3要素と言われてきました。近年はこれにITを加える場合もあるそうです。
これほど、「人」は大切なもののはずでした。
経営状況が厳しくなってくると経営は資金繰りが第一になります。「カネ」が最優先されるのが当然だと言います。「ヒト」というのは、将来の「カネ」を生むものでありながら、同時に「カネ」を食う誠に厄介なものなのです。
特に労働者は法的にいろいろと守られているので、そうそう乱暴な人員削減はできません(やってしまう会社もありますけど)。
そこで早期退職の募集や再就職のあっせんで表向き優しく人件費を減らしにかかります。
財務上はV字回復しますが、長い目で見てその後、飛躍的に社業が成長する、というケースはなかなか少ないようです。何しろ思惑と違って優秀な人ほど他からも需要があり、さっさと辞めていきますからね。
「人」は大事にすべき資本かスリムにすべきコストかというのは、なかなか二者一択では決めきれないところではありますが、少なくとも最近は、経営者の頭にはコストとしての比重が大きいのではと残念に感じることがあります。