イヤな上司というのは、どこにでもいるものでしょうが、私が仕えた中でもあきれ果てて物が言えないレベルの人がいました。
常に口が立つ人で上司には媚びへつらい、部下にはパワハラ恫喝で威張り散らす、本当にどうしようもない人でした。
まあ、それだけではさすがに出世できませんから、何か秀でたものもあったと思いますが、そんなものが隠れ切ってしまうくらい、部下全員から嫌われていました。
特に当時はマイクロソフトのEXCEL,WORD,PowerPoint(PPT)を大部分の人が使う時代に入っておりましたが、この人はさほど歳を食っているわけでもないのですが、一切これらを使用しようとしませんでした。本当に一切です。
彼曰く、「自分はマネージャー。人を使うのが仕事。このようなOAツールは君たちがチャチャっと使いなさい。」と。
いやいや、言っていることはある面、正しいですよ。でも自分では一切触りませんから、作成する方の苦労も分からず鬼のような量の仕事を振って「チャチャっと資料作ってよ」と宣います。自分は口頭か下手なイメージ図を一枚書いてポンと手渡すだけ。
そんなある日、部長から現在の各自が考える課題をPPTで全員自分で作成せよ、部内で発表会をやる、と言い出しました。慌てたその上司は、当然部下に作成を頼みますが、ものの見事に全員に断られました。自分の無茶ぶり仕事が多すぎて部下がとても手が回らない様子を見てさすがにそれ以上は何も言えなかったようです。
結局、発表会当日の彼は、手書きのレジュメをコピーして配り恥ずかしそうにプレゼンしていました。部長もあきれ顔でした。
しばらくしてお互い転勤してしまい噂も聞かなかったのですが、転勤先でも相変わらずだったようで、そのうち退職してしまったそうでした。
自分でもやってみて、部下の苦労を少しでも体験していれば、もう少し言葉にも説得力が出たでしょうし、部下だって苦戦する上司を見れば進んで手伝ったでしょうね。
