職業人生を一つの会社で過ごすことの危険性の一つは、恐ろしく視野が狭くなること、です。
本人はそうは思わないでしょう。社内でもいろいろなタイプがいるし、取引先や顧客、いろいろな人に刺激を受けている、ほら、名刺もこんなにたくさんもらっている、と自分はそんなに狭いところで過ごしてきた覚えはない、といってムキになって反論されることもあります。
会社に人生を捧げた人ほど、公私を問わず物事の判断をつける際、その属する会社の価値観を通してしまうことに気が付かないものです。
周りとの価値観の違いを感じることがあっても、よもや自分の方が間違っている、と謙虚に振り替えられる人は救いがありますね。
一つの会社で一途に過ごし、中途半端な成功体験を重ねてきた人ほど頑なに自分の、いや自社の価値観を崩そうとしません。
一番厄介なのは、部長、課長クラスで定年を迎える人でしょうか。役員まで行く人はむしろ突き抜けた感がありますし、出世できなかった人はむしろ若い頃から趣味や地域などを通して社外のつながりの方が深かったりします。
学校の教員も同じです。言うことを聞くしかない生徒や事なかれ主義の教員に囲まれていると、あたかも自分が絶対的な権力者になったかのようなふるまいをする者もいます。
こういった社会は労働生産性もますます落ちて、経済成長など夢のまた夢。
ひょっとしたら自分ってすごく狭い視野なのかも、と私も常々振り返るようにしています。