政府の生涯現役施策や、年金不安、老後不安を煽る利害関係者などの思惑に乗せられすぎだと個人的には思っておりますが、街角で働くご老人をよく見かけるようになりました。
実際生活が厳しい方もおられると思いますし、人手不足で若い人も集まらないような仕事を担っている方もありますので、老人の皆が皆、働くべきではない、とは言いません。
しかし、何となく老人も働かなくてはいけない世の中の雰囲気というものが醸し出されているせいで、惰性で働いている人、本当は働かなくてもいい人まで働いているのは、本当に世の中にとって素晴らしいことなのでしょうか。そう考える事件がありました。
私は、徒歩圏内にいくつかの行きつけのスーパーがあり、中でも格安のスーパーで定期的に買い物をしています。このスーパーはおそらく人件費抑制のため、あえて老人を雇用しておりしかも労働時間を短縮するため開店時間中に荷物の搬入や陳列なども行います。
それ自体は良いです。懸命に価格転嫁して安く売ろうとしている経営努力ですから。働いている人も概ねは一生懸命で、多少動きは遅かったりぎこちないですが、クレームを入れるほどではありません。
しかし、一人だけいつも不機嫌に搬入の荷物を荒々しくカートで運んでいる人がいます。お客がいてもどこ吹く風で、皆冷や冷やしていました。いつもブランド物のシャツを着てその上からエプロンをかけている70歳くらいの爺さんです。笑顔なんか見たことありません。
先日、私は品物を選んでいたのですが、背中にドンと段ボールが当たる感触がありました。見るとその爺さんが荒々しく商品をカートから下ろしているところでした。
私が、「もう少し丁寧にできないの?私に当たりましたよ」というと、その爺さんは驚くことに「チッ」と舌打ちし、そのまま行こうとしました。
これには、温厚なる吾輩も看過できません。少し大きい声で、「おい、そのまま行くことは無いだろう」と言うと店舗責任者みたいな人が飛んできました。事情を話すとその人が謝罪したので、別に大事にするつもりも無く、了解してそのまま私も行こうとしました。
するとその爺さんは謝らないばかりか、「はーあっっ」と大きなため息をついたのでした。さすがに責任者っぽい人も顔がこわばり、爺さんを連れて行きました。その後、その爺さんを見かけません。
ありゃ、多分元エリートサラリーマンでしょう。定年後の人間関係が上手くいかず、家庭でも奥さんに邪険にされて、体力づくりを兼ねてスーパーで働いてみたのでしょう。こんな人が働くと迷惑にしかならないな。
などと、独り毒づきながら帰宅した次第です。