会社員時代、業務の進捗をフォローするために、やたらと「TODOリスト」を作ることに命を燃やす人がいました。
しかもシステム大っ嫌いな人で、項目と優先度を入れるだけできれいな見栄えでリストが作成される効率的な社内システムがあるにもかかわらず、いろいろ難癖をつけてこれを使いません。何かの裏紙をもってきて定規とボールペンで線を引き、十数項目のTODOを手書きでせっせと書き込むのでした。
当たり前ですが、ものすごく時間がかかりましたし、この人は結局リスト作りで燃え尽きて、肝心の業務フォローは上司に促されてやっと気づくような体たらくでした。丸一日かけて作ったリストを満足そうにしまい込み、夕暮れの窓辺に佇んで「一日仕事したなあ、飲みに行こう!」と宣う日には全員椅子から滑り落ちそうになりました。
この人が遅まきにEXCELを覚えたのですが、むしろ大変になりました。よりTODOリストのディティールにこだわるようになり、更には周囲にもこのやり方をしつこく勧めるようになりました。
いや、そんな奴本当にいるの?と思われるかもしれませんが、いるんですよ。またこれが、アナログタイプの昭和脳の上司には「熱心な努力家」として評価されることがあります。ミーティングの場で「彼を見習うように」と全員に訓示があったのを機会に優秀な若手2名が辞めていきましたからね。組織の末路はいかばかりか、察せられますよ。
さて、そんなTODOリストマニアさんは私の少し先輩だったのですが、同じ時期に早期退職しました。噂では、何社か再就職に応募したらしいですが、すべて失敗したらしいです。
最近一度、会食のお誘いがありましたが、謎の武勇伝を聞かされることが容易に予想がつきましたので、丁重にお断り申し上げました。